無駄に敷金を取られない為に知っておくべき「原状回復の中身」

無駄に敷金を取られない為に知っておくべき「原状回復の中身」

賃貸物件を管理している不動産管理業者や賃貸を主に扱っている不動産屋が顧客である「借主」を騙してお金を吸い上げようとする手口のひとつとして「原状回復」があることをご存知でしょうか?

よく知られている騙しの手口は、「消毒費」「鍵交換費用」などがあります。「消毒費」とは、賃貸していた部屋を退去時や入居時に清掃費用とは別に消毒をするからという理由で借主から徴収する費用として請求する不動産屋が多いのですが、実際には部屋の消毒などは行いませんし、トイレや風呂場などもせいぜい清掃業者が清掃する程度ですので実際には消毒など行われていないことが多いのが現状です。
簡単に言えば、ウソな訳ですが、「消毒費用を払わないと部屋を貸さないぞ!」と借主の足元を見て請求してくる為に、半ば泣き寝入りの状態で多くの借主が消毒費用を支払っているよういうのが現状です。

「鍵交換費用」。これも呼んで字の如くですが、玄関のドアの鍵を交換する為に2~3万円の鍵交換費用を請求するパターンです。本当に鍵を交換しているのであれば、入居時に渡された鍵は新品ですので、ピカピカの状態で渡されるはずですが、悪質な業者の場合、鍵はうすボケ、小傷がついた状態のまま渡されることがあります。こういったケースの場合、当然に鍵は交換されていませんので、「鍵交換費用」はそのまま悪質不動産業者のポケットの中に入ることになります。

そもそもワンルームのアパートの鍵の交換費用で2万円後半から~3万円の費用を取ること自体、ボッタクリもいいところですので、今後、適正価格を謡う不動産業者が出てきて、業界を引っ掻き回したりしない限り、この鍵交換のボッタクリ価格は続くのかもしれません。
因みに、Googleで検索してもらえば分かるのですが、通常、鍵のシリンダー交換の場合は、3500円~一万円以下が妥当な価格です。

原状回復を知らなければボッタくられる?!?

さて、話が横道にそれてしまいましたが、ここからが本題の「原状回復」です。
因みに、「原状回復」という言葉を知っていますでしょうか?
何度か賃貸マンションやアパートを借りたことがある人ならば既にご存知かと思いますが、初めて聞いたという人と為に、簡単に「原状回復」についてご説明しておきます。

「原状回復」とは、言葉の意味では「初めのままの状態、元のままの形に戻すこと」となっていますが、賃貸借契約での「原状回復」の定義は、「入居者の故意・過失や通常を越える使用等による損耗・毀損を復旧すること」とされています。

「入居者の故意・過失や通常を越える使用等による損耗・毀損を復旧すること」
普段使い慣れない言葉が並び、なにか今一ピンとこない人も多いと思いますので、簡単に「原状回復」についてご説明します。

「原状回復」とは、

不注意や故意に壁や床を壊したり、汚したりしたものは、元の状態に修理してね。日焼けや経年劣化による壁や痛み、普通に生活して汚れたり、細かな傷がついたりしたものは自然なことなので、復旧しなくていいよ。
とまぁ、こういうことになります。

ポイントは、経年劣化 と 自然損耗(通常損耗)は原状回復義務の対象外であるという部分です。どこが経年劣化で自然損耗なのかについて詳しい内容がまだまだ一般的になっていないこともあって、この点を悪用して、借主に対し、原状回復費用として請求する悪徳不動産業者も多いのが現実です。
同じ不動産業者として、「そんなことまでして」と思うのですが、この手口は、上記しました鍵交換や消毒費と同じ程度にまだまだ多いのが現実ですので、しっかりと原状回復について知識を持っておき、敷金の清算時に騙されないように注意することがとても重要になります。

国土交通省住宅局がつくる「原状回復ガイドライン」

なにかとトラブルの多い賃貸住宅の敷金による清算問題について、国土交通省が「原状回復ガイドライン」という名で、賃借人と賃貸人の間における原状回復の責任の所在となる分岐点を国土交通省住宅局が明文化しています。

それが、「原状回復ガイドライン」です。

国土交通省が公開している「原状回復ガイドライン」の目的は、原状回復における責任と負担割合を明確にし、線引きすることで、未然にトラブルを防ぐことを目的としています。

借主の負担と貸主の負担

国土交通省が公開している「原状回復ガイドライン」では、借主の負担と貸主の負担が明確になりました。

すべてをご紹介するとなるととてもこのページだけではご紹介しきれませんので、大事なポイントだけご紹介しておきます。

エアコンやヒーター、ガス・灯油設備、壁紙、ドアなどの賃貸住宅の設備に関する故障・自然損耗、経年劣化については、すべて貸主である大家さんが全ての負担を負わなければなりません。これらの修理・修繕費用はすべて家賃に含まれているとされていますので、借主である賃貸人は、一切、修理修繕費用を負担する必要はありません。

今も頻繁に聞くのが、「畳が日焼けで黄ばんだので交換したい」 と管理会社から言われ、敷金から差し引かれた。という話です。
また、札幌の場合に多いのが、「部屋に敷かれたカーペットが使用により汚れていたので交換したい」 とか、「カーペットの上に置いてあった家具のへこみが治らないので、カーペットを交換したい。」といったケースです。しかし、いずれのケースでも貸主(大家さん)の負担となることが国土交通省の「原状回復ガイドライン」にも示されていますので、借主は一切費用を負担する必要はありません。

逆に借主が原状回復の為に費用を負担しなければならないのは、
タバコによる畳・カーペットのコゲや引越しなどでついた大きな傷、札幌で最も多いのは北側に面した部屋で起こりやすい結露の放置によって拡大したカビやシミといったケースです。これらは、自然による損耗や経年劣化とは認められませんので、借主が原状回復における費用を負担しなければなりません。

借主の修繕は最小限で良い。修繕の単位。

賃貸住宅を借りている借主が、誤って壁紙やフローリング、クローゼットのドアなどを破損させてしまった場合は、借主の故意・過失となり借主に原状回復の責任があると前項でご紹介しました。

不動産管理業者の中には、「では、壁紙を交換します」といって壁全体の壁紙交換費用を請求する悪徳業者がいるのですが、実は、借主の修繕義務には「修繕は最小の単位でなければならない」という基本原則があり、修繕の施工単位というものが明確に定められています。
そのため、万が一、借主の過失や故意によって、設備の一部が破損し原状回復をしなければなくなった場合でも、「原状回復の最小単位」に従って原状回復をすれば良いということになります。「原状回復の最小単位」を知っていれば、悪徳な不動産管理業者に騙されることもなくなり、敷金をしっかりと取り戻すことができますので、近々、賃貸住宅の退去を考えている方は、この「原状回復の最小単位」を頭の中に入れておきましょう。

以下の表は、宅地建物協会が「原状回復の最小単位」を示した表を少しわかりやすく簡略化したものです。

借主が負担すべき修繕単位 経年劣化に対する負担
畳一枚単位 畳表
消耗品に近いものである為、経年年数は考慮しない
カーペット

クッションフロア

毀損部分(単位なし) 畳床・カーペット・クッションフロア
フローリング 原則㎡単位 経年劣化は考慮しない
原則㎡単位

但し、タバコやヤニの臭いは居室全体

壁(クロス)

6年で残存価値1円となるよう負担割合を算定する。

建具 ふすま 1枚単位

柱 1本単位

ふすま紙・障子紙

消耗品であり経年劣化は考慮しない。

設備機器 補修部分、または交換相当費用 耐用年数を考慮して、負担割合を算定
補修部分 紛失した場合は、耐用年数を考慮しない。
クリーニング 部位ごと または、住戸全体 経年劣化は考慮しない。

借主負担となるとは通常の清掃※1をしていない場合。

「※1 通常の清掃」と書いています。通常の清掃とは、ゴミの撤去、フローリングや壁などの拭き掃除、シンク・洗面所などの水周り清掃、換気扇やレンジ回りの油汚れの除去となっていますので、基本的な部分の部屋の清掃ができていれば、クリーニング費用は本来は取られることはないはずですが、入居する際の契約時に、「退去時に敷金から清掃費を差し引く」などとしている物件が多いのが現状です。

良心的な賃貸物件の場合は、上記の表にならい「ゴミの撤去」と「基本的な清掃」を重要事項説明時に説明して、クリーニング費用はとらないものですので、できるだけ高額なクリーニング費用を徴収する旨記載されている物件は避けて契約するのが良いでしょう。