イトウマイ子さん問題から見える業者の問題点と原状回復&賃借人の負担割合

イトウマイ子さん問題から見える業者の問題点 と原状回復&賃借人の負担割合

イトウマイ子さんブログ(外部リンク)

  1. 法的な問題点を整理
  2. 経年劣化による負担割合
  3. 設備等の経過年数と賃借人負担割合
  4. 管理会社は宅建業の免許が必要ない。という不思議

女優のイトウマイ子さんが、心無い不動産業者に酷い要求をされ心を酷く痛めているというニュースが流れきましたので、何が問題で何が酷く悪徳なのかについて以下に整理していました。

因みに、心無い不動産業者はイトウマイ子さんに

「1日でも早く撤去させろ!」
「死人が出たマンションは普通に貸せない!」
「広告を出す時は死人が出たと表記する!」
「フローリングを変えるから120万円払え!」
とかなりメチャクチャなことを言っていたとあります。

法的な問題点を整理

法的な側面から今回の問題について整理しておきます。
まず、「1日でも早く撤去させろ!」という不動産管理会社からの要求。 これはこの不動産屋の要求の前段に賃貸契約が存在していますので、「1日でも早く撤去させろ!」というのは可笑しな要求です。亡くなった方、つまり賃貸人の保証人や家族は、葬儀などの手続きをすませなければなりませんが、管理会社に怒鳴られ強制される話ではありません。
次に、「死人が出たマンションは普通に貸せない!」との要求。まったくの大嘘で、貸せなくなるということは一切ありません
賃貸物件で亡くなった部屋が貸せなくなるのであれば、世の中の大家さんは廃業しなりませんので、決して、そんなことはありません。
そして、「広告を出す時は死人が出たと表記する!」 イトウさんのブログを拝見する限り、自然死かと思われます。自然死であれば、宅建業法内だけで言えば広告や重要事項説明書に明記する必要はありません。善良な宅建業者が知っていれば、口頭で説明があるかもしれませんが、広告に載せなければならないルールなどはありません。また、裁判所での判決でも自然死の場合は広告への明記は不要という判決がでていると聞いています。
広告ではなく、厳密言えば”重説”に記載が必要なのは、「自殺」「他殺」などの心理的過失があるケースとなります。
最後の「フローリングを変えるから120万円払え!」との要求。 亡くなったのはフローリングだったのでしょうか。もし仮にフローリングであったとしても自然死であれば、フローリングを現状回復する義務は賃貸人にはありません。もし、賃貸人が故意にフローリングを破損したり、清掃しても修復可能な程度に汚していた場合にはその修理修繕の義務を負わなければなりませんが、こちらもブログを読む限りでは故意にフローリングを故意に汚したり破損したりしたケースではなさそうですので、その義務もありません。

経年劣化による負担割合

そ、れ、と、世の中の多くの人が「経年劣化による負担割合」というものが世の中にあるということを知らずに不動産管理会社の言うがままに支払っているケースが多いのですが、例え賃貸人が故意で破損した場合でも、「経過年数の考慮」というものがあり、現状修復にかかる賃借人の負担割合は経年によって減っていくと国土交通省がガイドラインを公表しています。
少しわかりにくいので補足しておきますと、フローリングの張替えに40万円かかったとします。(※通常、120万円もかかることは通常ありません。) 賃貸していた物件が築10年だとします。現状回復しなければならないフローリングには、経年変化や通常損耗が含まれています。賃借人はその分を家賃として支払っていますので、賃借人はフローリングの修繕費から10年経過した分(割合)を差し引いて請求しなければならないのです。
それがこちらのグラフです。
このグラフのポイントですが、建物(設備)の価値は「新築」時から価値が下がっていくという点にあります。つまり、フローリングの張替えに40万円かかったとしても10年経過していれば10年分価値が下がっているわけですので、その分は原状回復にかかった費用から差し引かなければならないということです。
では、仮に10年経過したら、その程度差し引くべきなのでしょうか?

設備等の経過年数と賃借人負担割合

この問題についても国土交通省がしっかりとガイドラインに示していますので、以下にそのグラフを貼り付けておきました。
経過年巣に対する負担割合は、耐用年数によって変わってきます。上のグラフでは、耐用年数が6年の場合と8年の場合が記されています。因みに耐用年数が6年とされているものは、築7年のお部屋に住んでいるのであれば負担割合は0です。 築3年であれば50%の負担割合ですので、仮に40万円かかったとしても賃貸人が実質負担しなければならない割合は20万円となります。
これを知らないと、ぼったくりの悪徳不動産屋に、「40万かかりますので、敷金から(40万円)差し引いておいてもいいですか?」と言われ、シブシブ支払わなければならない羽目になってしまいます。
そんな私も、不動産の世界に入る前に退去した際に、某お部屋探しの○○○○さんに古びたアパートの畳の修繕費「全額」を敷金からボッたくられたことがあります。因みにその賃貸業者は「畳を交換せずにまた賃貸した」と、おせっかいなお隣さんがわざわざ新しい入居者さんから聞いてくれたことがありました。笑
まぁ、よろしくない業者さんはあの手この手でお金を分捕ろうとしてきたということですのですね。

管理会社は宅建業の免許が必要ない。という不思議

小タイトルだけを見ると、「???」と思われる方が多いと思うのですが、つまりどういうことかと言いますと、賃貸や売買などの仲介業務を行う不動産屋さんは専任の宅建士を配置し、国土交通大臣か都道府県知事に届け出て宅地建物取引業者としての認可を受ける必要があるのですが、賃貸アパートや賃貸マンションの管理だけを行うだけの不動産管理会社は、宅地建物業の免許は必要ないということになっています。
その為、不動産管理だけを行う会社は、宅建業法に精通したものがいる必要がありませんので、「結構、いい加減なことや適当なことを平気で言うし、入居者に対しても態度が悪い」という話をよく耳にします。
このような対応の悪い話を耳にしてなのか、一部の不動産会社が「不動産の管理にも免許や資格が必要になるように制度を変更しよう!」という動きを見せています。これはとても良いことだと思いますが、今のところ、なかなか前に進んでいないような気がします。
今回のイトウさんの悲しい叫びは、真っ当な商売をしている同業者からしてみれば本当に迷惑な話ですし、(免許を持っている業者であれば)宅建協会や該当する都道府県の建設指導課などは適切に指導しなければならない事案だと思います。

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