日本の住宅に安全な場所はあるのか? 弾道ミサイル・核爆弾への対応について考える。

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2017年4月21日、内閣官房庁は、緊迫する北朝鮮情勢をうけ、「内閣官房国民保護のポータルサイト(外部リンク)」で「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」「弾道ミサイル落下時の行動について(その1)」「弾道ミサイル落下時の行動について(その2)」というタイトルで3つのPDFを公表しました。

内閣官房が発表した一番最初の文書である「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」には、実際に弾道ミサイルが落下してきたときの行動について、質問と回答形式で8つの問が書かれています。そして、「弾道ミサイル落下時の行動について(その1)」「弾道ミサイル落下時の行動について(その2)」については、屋内や屋外にいるときの行動についての注意が書かれています。

何故か、テレビや新聞などの既存マスコミでは、いつもと変わらない様子でのんびりとバラエティー番組を流し続け、第二次世界大戦後、最大の緊張状態になっている北朝鮮情勢の報道についてはわずかばかりの情報しか報道していない状況ですが、日本以外の国のマスコミや日本政府(内閣官房)がインターネットを通じて、日本国民の生命に危険が迫っていることを正式な文書として伝えていますので、今回は、内閣官房が発表した北朝鮮弾道ミサイル落下時の行動についての内容について考えてみたいと思います。

「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」問1

「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」の問1では、ずばり北朝鮮と名指しし、北朝鮮が発射した弾道ミサイルが日本に飛来することを予想し注意喚起しています。ネット上でのニュースで報道されているように米国と北朝鮮が交戦状態になったときには、北朝鮮から弾道ミサイルが日本に向けて発射され、着弾すると明確に予想しています。

「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」を読み進めてみると、問3に、「自宅(木造住宅)にいる場合はどうしたらよいでしょうか。」という問いが出てきます。

「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」の回答は以下の通りです。

(答) すぐに避難できるところに頑丈な建物や地下街などがあれば直ちにそ ちらに避難してください。それができない場合は、できるだけ窓から離れ、 できれば窓のない部屋へ移動してください。

そして、もうひとつ、問4には、「建物内に避難してから気を付けることはありますか。」 という問いが出てきます。

問4の回答には、

(答) 爆風で壊れた窓ガラスなどで被害を受けないよう、できるだけ窓から離 れ、できれば窓のない部屋へ移動してください。

と書かれています。

内閣官房の回答への疑問

「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」を読み進めているうちに、不動産屋として大きな疑問がわいてきました。

それは、「できれば窓のない部屋へ移動してください。」という部分。

日本の住宅に窓のない部屋などあったのでしょうか?

日本には住宅を建てる際に守らなければならない法律として「建築基準法」という法律があります。建築基準法には、建築物を建てる上での様々な規制が細かく決められていて、今回の内閣官房の注意喚起の「できれば窓のない部屋」というものについても建築基準法で明確に決められています。

建築基準法では、居室として使用する部屋には、建築基準法で定められている以上の窓を必ず設置しなければならないとされています。建築基準法では、人が長い時間過ごすと想定される部屋を「居室」とし、「居室」には室内の床面積の1/7以上の面積の窓を設けなければならないということを定めているのです。

つまり、人が生活を営む部屋には必ず窓があり、床の1/7以上の窓があるということになっていますので、日本国内に窓のない部屋はないということになります。

日本にいる以上、北朝鮮がから弾道ミサイルが飛んできたという情報を得たとしても、窓の無い部屋に移動したくでも移動できない!逃げたくでも逃げることができない!ということになります。

本当に窓のない場所はないのか?

では、日本の住宅に窓のない部屋はないのでしょうか? 実は、日本の住宅にも窓の無いスペースは存在していて、建築基準法でも認められています。

「無窓居室」

日本の住宅にも実は「無窓居室」という名がつけられた空間が存在しています。それは、採光の取れていない部屋。つまり、日本の住宅では「納戸」と呼ばれている場所が、窓のない部屋=「無窓居室」にあたります。

マンションの場合ですと、「DEN」とか「サービスルーム」などといった表記がされている場合もあります。

つまり、北朝鮮から弾道ミサイルが日本に向け発射された場合、近くに地下鉄や地下室などの空間がない場合、そして、自宅にいた場合は「納戸」や「DEN」「サービスルーム」という場所に逃げ込むしか手はなかく、納戸やDENに逃げ込むことが身を守る為にまず最初に取るべき行動と言えそうです。

窓のない部屋(納戸)に逃げ込む理由

何故、内閣官房は注意喚起を促す資料の中で「できれば窓のない部屋に」と注意喚起しているのでしょうか?

その理由は、弾道ミサイル(爆弾)が爆発し、直接的に人を死においやる主な原因として、「爆風」と「熱」があるそうですが、その他にも、核爆弾による風速300m/sが爆風が原因にあるようです。

※m/sとは、メートル毎秒(まいびょう)と言い、「1秒間に1メートル進む速度」を表す単位です。

もし、北朝鮮による弾道ミサイルが日本の国土に落下し、1秒間に300メートル以上も進む爆風が発生した場合、運よく直接的な熱と爆風を避けられたとしても、核爆発によって発生した爆風により窓ガラスが割れ、割れたガラスが体中に突き刺さり、命を失う可能性が危険性が高いということのようです。

ガラスの耐風圧

参考までの情報になりますが、住宅など使われているガラス産業でトップシェアを誇る「旭硝子」ですが、ホームページでガラスの耐風圧について発表していますので、ご紹介します。

そのページがこちら(外部リンク)

旭ガラスのホームページでは、どれくらいまでの風圧まで耐えられるか?というガラスの設定のことを「設計風圧力」と呼んでおり、設計風圧力を導く計算式については、設計風圧力 W(N/㎡)を瞬間風速V(m/秒)に換算すれば、ガラスが破壊しない風速を導き出すことができるとしています。

ここでは設計風圧力については詳しくご紹介はしませんので、より詳しい計算式については旭硝子のホームページを見てみてください。さて、実際のガラスの「設計風圧力」はどれくらいまでの風圧まで耐えられると設計しているのでしょうか?

旭硝子のホームページを見てみますと、風速48.0 m/秒まで耐えられるよう設計されているとあります。

さらにそこには、「風の強い沖縄県などは、設計風圧力が東京よりも大きいので、もっと大きな 風速にも耐えられるような強度設計をされたガラスが使われていることになります。」と書かれています。

ということは、日本全国で使用されているガラスは概ね風速48mまでは耐えることができるという認識を持っていて間違いないようです。

参考までに、日本の住宅で使われているガラスは、東京都23区で過去に観測された最高最大瞬間風速46.7m/秒にも耐えられるガラスということを一つの基準としているようです。

当然ですが、核爆弾で発生しうる風速はまったくの想定外ですので、ガラスのない部屋に移動しなければ、万が一、核爆弾が着弾したときは、放射線電磁パレス、そしてガラスの餌食になってしまうということだけは間違いないようです。

核爆発の直接的・間接的効果

  •  爆風
  •  熱
  •  電離放射線
  •  放射性降下物
  •  電磁パレス

まとめ

話がだいぶ遠回りしてしまいましたが、万が一、北朝鮮が弾道ミサイルを日本に向けて発射した場合、もし近くに地下鉄や地下など弾道ミサイルの影響を最小限に抑えることができる可能性がある場所がない場合には、住宅などの建物内に身を寄せるしかありません。それは、本当に本当に最後手段かもしれませんが、日本の住宅には、「無窓居室」と呼ばれる「納戸」や「DEN」「サービスルーム」と呼ばれる場所がありますので、「納戸」や「DEN」「サービスルーム」に身を寄せるしかないようです。

普段、「納戸」や「DEN」「サービスルーム」には多くの荷物を収容する場所として利用されているケースがほとんどだと思いますので、迫りくる北朝鮮情勢を見定め、万が一の際に身を寄せるスペースとして、納戸やDENにおいてある荷物を整理し、人が身を寄せるスペースを確保しておくなどの準備はしておくべきかもしれません。

備えあれば憂いなし。