新千歳空港、2000万人超えが与える北海道不動産市場への影響と民泊

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2016年12月21日の苫小牧民報で、「新千歳空港の2016年の累計旅客数利用者が、200万人を超えることが確実」と伝えていました。11月の国内・国際線の旅客数は同月として過去最多で、前年同月比5%増で、中でも国際線の11月の国際線旅客数は前年30・5%増だったのだそうです。

国内線はもとより国際線の利用者の増加は、その空港があるエリアの経済に大きな影響を与えます。経済に連動する『不動産』も当然のことながらその影響を受けながら価格が変動してゆきます。

2015年の累計では、国内線では日本で第二位の空港利用者数だった新千歳空港は、国際線は那覇空港に次ぐ全国第7位でしたが、相次ぐ国際線の利用者の拡大・増便によって国際線の利用者数もいよいよ那覇空港越えも見えてきた状況のようです。

今回は、新千歳空港の国際線利用者の増加が北海道経済と不動産マーケットに与える影響について考えてみたいと思います。

札幌市内は深刻なホテル不足へ

札幌へ出張に来るサラリーマンの人々が「いつも宿泊していたホテルの予約が満室でとることができず、予算オーバーだったが少々宿泊料の高いホテルに泊まっている。」いう話をよく聞くようになりました。

どうやらホテルの予約が取りずらくなった原因は、近年、爆発的に増えた外国人旅行者にあるようです。

安倍政権が、外国人旅行者の数を2020年には4000万人2030年には6000万人に増やす!といった目標を発表した影響を札幌市も受けて、外国人旅行者が急増しているのです。

北海道のホテル・旅館

急増したホテル需要を見込み、新たなホテルの建設予定が次々と計画されていますが、今現在、北海道・札幌市にはどれくらいの旅行者を収容できる客室があるのでしょうか?

下の表は国土交通省が平成24年度に調査した北海道と北海道の各都市にある宿泊施設数と客室数をまとめた表です。

北海道全体では、旅館数が2551、ホテル数が684、旅館の客室数が48387室あり、ホテル数は63794室となっています。

内訳をみると札幌市の旅館数が99ホテル数が171あり、ホテルの数だけ見てみると北海道内の約25%、客室数で見ると24950室で全体の39%ほどのシェアを札幌市が持っているということになります。

この表だけでは、どのようなホテルの形態で、どのような宿泊料金なのかなどがわかりませんので、詳しいことはわかりかねますが、比較的リーズナブルな価格帯のホテルにも旅行者が殺到し予約を取りずらくしていることは間違いないようです。

民泊

札幌市では昨年度あたりからホテル不足の影響を受けて、外国人旅行者が違法民泊の宿に宿泊するケースが目立ち、札幌市内の比較的交通の便が良い立地のマンションなどでトラブルや管理会社から注意勧告を受けるなどのケースが目立ちはじめました。

住宅宿泊事業法案(民泊新法案)

2017年3月10日(金)、政府は自宅の空き部屋や空き家などを旅行者に貸し出す「民泊」について定められた「住宅宿泊事業法案(民泊新法案)」を閣議決定し、間営業日数の上限は180泊とし、自宅を貸し出す家主は各都道府県に届け出を行う必要があることなどを決定しました。

宿泊営業日数の上限を180日としたことから、一戸建てや区分マンションはあくまでも「住宅」としての利用を前提としたもので宿泊施設ではないとしたことがポイントと言えそうです。

当然、民泊をビジネスにしたい人々の側からは反発する声も多くあがっています。

罰則も

今回閣議決定された民泊に関する新法案については、新法に違反した事業者には業務停止命令や事業廃止命令が出さること。そしてその命令に従わない場合には6カ月以下の懲役または100万円以下の罰金が科されるとしています。

この罰則が厳密に守られるかについては、今のところ定かではありませんが、年間180日ではビジネスとして成立しないとの声も既存の民泊ホストからあがっているようですので、今後はこの180日の営業がどの程度守られ、今回決められた罰則がどの程度の効果を与えるのかは予想しにくい状況です。

民泊はビジネスになるのか?

民泊ビジネスが180日上限営業という縛りの中で成り立つビジネスなのかを判断する為、本当にざっくりですが計算してみます。

札幌市の大繁華街であるススキノ周辺の2LDKの家賃を仮に12万円とし、その賃貸マンションをオーナーの許可をとり民泊施設として貸し出した場合を想定してみます。

上限180日を12か月で割り返すと、月の営業日数が15日となります。宿泊代金が一部屋丸ごと貸し出すAirbnbのパターンで平均4人宿泊したとします。一部屋一泊の料金が仮に1万円とし追加の人数ごとに3000円のオプション料金を加算したとします。

すると、1泊あたり1万9000円となります。

稼働15日だと計算すると、月の売上は28万5000円となり、ここからAirbnbのホスト手数料3%、家賃、電気料金、水道料金、ガス代金、シーツや枕などのリネン代金を差し引くと…

なんだか、あまり良いビジネスにはならないようです。

世の中には、民泊施設の予約対応や鍵の引渡し、清掃などを代理で請け負ってくれるサービスも数多くありますが、そのサービスの手数料は現在のところ20%前後に設定されるケースが多いようですので、売上から20%の民泊代行手数料を差し引かれてしまうと、ビジネスとして成り立たくなってしまいます。

もし、民泊をビジネスとした考えたいという場合には、”自己”所有のマンションを利用しない限りビジネスとして成り立たせることは難しいようです。

民泊型一棟マンションの販売は如何に。

先ほどは、賃貸マンションを借りて民泊ビジネスを行ったケースについて、ざっくりとお金の計算をしてみましたが、一棟マンションとして購入したものを改装もしくは新築し、保健所からしかるべき営業許可を取り、Airbnbなどの民泊サイトから宿泊客を取るといったスタイルの収益物件がちらほらと出てきています。

このような形態をとった宿泊施設型の収益物件は如何なものでしょうか。今後、別の機会を設け、このホテル営業型民泊施設について、収支をシミュレーションしてみたいと思います。

新千歳空港の利用者増は北海道にとっての希望の星

何はともあれ、新千歳空港の国際線の利用者数の増加は、北海道の経済、そして北海道の不動産の動向にも大きく影響を与える動向です。

今のところ、札幌市のいたるところで既に違法のヤミ民泊が行われていますが…、早ければ2018年1月には民泊新法が施行されると言われていますので、札幌市内のホテル不足の解消と空家増加への歯止めとなることを期待したいと思います。

また、増加する観光客を取り組むためのリゾート開発がニセコや苫小牧を中心に積極的に行われていることから、道内で更に活発な投資の期待が寄せられています。そういった意味からも、新千歳空港の国際線の利用者数増は、局所的ではありますが、北海道各地の不動産の動向に大きな影響を与えることになることですので、大きく期待したいと思います。