平成29年度税制改正大綱、必ずチェックしておくべきポイント

不動産と税金

2016年12月08日、平成29年度税制改正大綱が公表されました。税制改正大綱とは一体どのようなものなのかご存知でしょうか?

税制改正大綱とは、日本国の政権を握っている与党の税制調査会が、毎年、良く年以降の税制についてどのような税制にすべきなどかについて話し合い、その内容をまとめたものです。

毎年発表されるものですが、政府はこの税制改正大綱に従って通常国会に税制改正案を提出しています。

さて、平成29年度の税制改正大綱ではどのような改正案が発表されたのでしょうか? 改正案の内容は多岐にわたりますので、その中から不動産に関連しそうな内容だけピックアップし、ご紹介したいと思います。

平成29年度税制改正大綱

税制改正の中身をざっくりと分類しますと、

  • 法人課税
  • 個人所得課税
  • 資産課税
  • 消費課税
  • 国際課税
  • その他の課税

といった具合にだいたい6分類程度に分けることができます。

そのうち、不動産投資や不動産売買に係ってくる課税は、法人課税・個人所得課税・資産課税・消費課税・その他の課税と国際課税以外のすべてに不動産は課税の対象とされています。

当然ながら、不動産取引に関する税は、今回の税制改正の対象となっていますので、チェックはしなければなりません。

平成29年度税制改正大綱
平成29年度税制改正大綱(外部リンク)

既存住宅のリフォームに係る特例措置の拡充

平成29年度の税制改正では、既存住宅流通・リフォーム市場の活性化を図る為に、「耐震改修・省エネ改修に加え、耐久性向上改修をリフォーム減税の対象とする」こととされ、これらの耐久性向上回収工事を行い長期有料住宅の認定を受けた場合いは、所得税と固定資産税について特例措置として税額の控除工事の翌年度の固定資産税の減税が行われることになりました。

税目 特例処置
所得税 自己資金による場合 最大50万円税額控除
ローンを利用する場合 最大62.5万円税額控除
固定資産税(工事翌年度) 2/3減税

中古住宅の買取再販に係る不動産取得税の特例措置の延長

既存住宅流通・リフォーム市場の活性化を図る為に、今回の税制改正では「不動産取得税の特例処置の延長」が提言されました。

不動産取得税とは、売買・贈与で不動産取得したとき、また新築・増築したときに都道府県が課税する地方税のことです。不動産の売買を行った買主に対し、取得不動産にかかる固定資産税額の4%を「不動産取得税」として納めなければならない結構むちゃくちゃな税制です。不動産取得税の計算式は以下の通りです。

土地・建物の税額 = 固定資産税評価額 × 4%(標準税率・本則)

今回の税制改正大綱では、マンション等の買取再販業者が既存の住宅を買い取って、住宅性能の一定の向上を図るための改修工事を行い、再販する場合に買取再販業者にかかる不動産取得税の特別措置が2年間延長されることとなりました。

ここでは不動産取得税の減税の対象と「再販事業者」としていますので、一般の不動産取引を対象にしている特別措置ではありません。

固定資産税~居住用超高層建築物に係る課税

一時期、マスコミで騒がれていたタワーマンション節税への課税強化策がこの「居住用超高層建築物に係る課税」となって平成29年税制改正大綱に出てきました。

タワーマンション節税とは、タワーマンションの建物の評価額と高層階の販売実勢価格に大きな差があることに着目し節税方法です。

これまでのタワーマンションの場合、建物の販売価格は高層階へ行けば行くほど高くなるに対し、税金の額を決める評価額は高層も低層も一律だった為、その差額を利用し富裕層の相続税対策などに利用されてきました。

つまり、これまでは、4000万円で購入した地上5階の部屋と2億円で購入した地上30階の部屋の延べ床面積が同じであれば固定資産税も相続税も同じでした。

誰でも少し考えればこの可笑しな課税の方法は明らかに間違っている!と気づきそうなものですが、長年、この節税方法について指摘され続けたにも関わらず放置されていたのが、ようやく今回の税制改正大綱で改正されることになりました。

改正の中身

「居住用超高層建築物」とは

まず、財務省は「居住用超高層建築物」という建物を定義しました。

税制改正大綱によると、「居住用超高層建築物」とは、高さが60mを超える建築物(建築基準法令上の「超高層建築物」)のうち、複数の階に住戸が所在しているものとしました。

「複数の階に住戸が所在しているもの」という部分がとても引っかかりますが、ここでは話を先にすすめます。

計算方法

次に、固定資産税額の計算方法を定めました。財務省の言葉では以下とされています。

住戸の所在する階層の差違による床面積当たりの取引単価の変化の傾向を反映するための補正率(以下(1)において「階層別専有床面積補正率」という。)により補正する。

つまり、階数によって今回決めた「補正率」をかけて、税額を計算しますよ。ということのようです。

では、その「補正率」の中身はどのようになっているのでしょうか?

財務省のホームページによりますと、

階層別専有床面積補正率は、最近の取引価格の傾向を踏まえ、居住用超高層建築物の1階を100とし、階が一を増すごとに、これに、10を39で除した数を加えた数値とする。

と記載されています。

実際に計算してみました。

「10を39で除した数を加えた数値」というと今一ピンと来ませんが、要は「40階部分のお部屋は1階の1割増し」という考えとなっているようです。

階数 階層別専有床面積補正率
1 100
2 100.256
3 100.513
4 100.769
5 101.026
6 101.282
7 101.538
8 101.795
9 102.051
10 102.308
11 102.564
12 102.821
13 103.077
14 103.333
15 103.590
16 103.846
17 104.103
18 104.359
19 104.615
20 104.872
: :
40 110.000

少し長くなってしまいましたので、この続きは次回にでもご紹介したいと思います。続く。